アスペルガー症候群(ASD)とは?自己愛性人格障害との違い

アスペルガー症候群は、発達障害の自閉スペクトラム症(ASD)の一種です。
ネットスラングのアスペは、アスペルガー症候群のことです。
アスペルガー症候群は、空気が読めないのが特徴なので、空気が読めない人のことをアスペと呼ぶこともあります。

アスペルガー症候群(ASD)は、「空気が読めない障害」として有名になったため、共感力が低い人はASDだと考える人が多いでしょう。
しかし、共感力の欠如が見られる障害は、ASDだけではありません。
自己愛性人格障害NPD自己愛性パーソナリティ障害)も共感力欠如を特徴とする障害なのです。
むしろ、発達障害のASDよりも、自己愛性人格障害の方が数が多いため、空気の読めない人の多くは自己愛性人格障害だと考えられます。

・アスペルガー症候群(ASD)… 発達障害の一種で、先天性(生まれつき)の障害
・自己愛性人格障害(NPD) … 人格障害の一種で、後天性(育った環境が原因)の障害

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自己愛性人格障害は、マイペースなだけのASDと異なり、ハラスメント気質です。
また、自己愛性人格障害者の中には、「自分はASDだと」アピールする人もいます。
そのため、ASDと自己愛性人格障害をしっかり見分けることが大事です。
見分けるポイントは、自己アピール、押し付け、論理力です。
自己愛性人格障害者がASDアピールする理由については、最後に解説します。

【目次・ASDと自己愛性人格障害を見分けるポイント】

ASDと自己愛性人格障害は、似ている部分もありますが、本質的には全く異なります。
それぞれの特徴について、解説していきたいと思います。

ASDアピールするのは、自己愛性人格障害

自己愛性人格障害は、承認欲求が高く、自己アピールが多いのが特徴です。
自己愛性人格障害者は、「特別な存在になりたい」という願望を持つため、特別な自分アピールをする傾向があります。
そのため、「自分はASDかもしれない」、「病院でASDの診断を受けた」などと、周囲にアピールすることがあります。
自己愛性人格障害は、何よりも「人からどう見られているか」に執着する精神病なのです。

ASDは、世界が自分の中だけで完結しているため、承認欲求は低い傾向があります。
ASDは、自分が人からどう見られるかに興味を持たないのが特徴なのです。
「目立ちたい」、「特別な自分になりたい」といった願望を持つことはありません。
そのため、自己アピールに興味がなく、基本的に「自分はASDだ」と自分から言うことはありません。

自己愛性人格障害は自己アピール好き、ASDは自己アピールしないと覚えておけば、分かりやすいでしょう。

こだわりを押しつけるのは、自己愛性人格障害

自己愛性人格障害は、こだわりやマイルールを人に押し付けるという特徴があります。
自己愛性人格障害者は、自己中心性特別意識が強いため、自分の考えが絶対だと考える傾向があります。
職場や家庭でパワハラやモラハラ、お店でカスハラ、ネットで誹謗中傷をするハラスメント気質なのです。
自身の価値観に基づいて、他者の人格否定や容姿否定をすることも多いです。

ASDもこだわりが強いという特徴がありますが、あくまで自分の思考や行動に対するこだわりです。
ASDは、自身のこだわりを人に押し付けることはありません。
良くも悪くも、ASDは人に興味を持たないため、人の考えや行動を矯正することに意味を感じないのです。
マイペースで人の気持ちに気づくのは苦手ですが、パワハラやモラハラをするような攻撃性は持ちません。

自己愛性人格障害はモラハラ気質、ASDは人に無関心と覚えておけば、分かりやすいでしょう。

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論理力が低いのは、自己愛性人格障害

自己愛性人格障害は、論理力が低いという特徴があります。
自己愛性人格障害者は、その都度、自分にとって都合のいい発言をするため、話の筋を通す能力が欠けているのです。
そのため、論理性や整合性、合理性に欠ける主張を平気でする傾向があります。
ダブルスタンダードや掌返し、コロコロ意見を変えるなどが分かりやすい例です。
例えば、精神論と現実主義を都合よく使い分けるといったことがあります。

ASDは、生まれつき論理力がとても高いという特徴があります。
ASDは、コミュニケーションが苦手と言われますが、論理的な会話をする能力は高いのです。
合理性に欠ける発言や矛盾がある発言をすることは、めったにありません。
合理的で感情論は苦手ですが、話の筋を通すという意味で、誠実な会話をする性格です。

自己愛性人格障害は論理力が低い、ASDは論理力がとても高いと覚えておけば、分かりやすいでしょう。

まとめ

ASDと自己愛性人格障害の違いについて解説しました。
ところで、なぜ、自己愛性人格障害者は、ASDアピールをするのでしょうか?
それは、自己顕示欲と自己正当化のためです。
自己愛性人格障害は、ワガママ病として知られるネガティブな病気なので、積極的にアピールしたくなるものではありません。
それに対し、ASDは「生まれ持った理系の才能」、「ノーベル賞受賞者がいる」という特別感があります。
自己愛性人格障害は、特別願望を持つ病気なので、自分を飾るためにASDアピールをするのです。
また、自己愛性人格障害は、人に厳しく自分に甘い、という特徴があります。
人に対する思いやりに欠ける性格を、ASDだと正当化しているのです。
生まれ持った性質のASDだから配慮してほしいという、自己都合の要求でもあります。

自己愛性人格障害者が、病院でASDの診断をとっているケースもあります。
日本の病院でASDの診断を受けていても信用できません。
日本の心療内科は遅れており、ASD診断を求める患者が自己愛性人格障害であることを疑いません。
ASD診断を求められたら、ASD診断用の問診だけをして終わりです。
そのため、自己愛性人格障害者がASDの診断を手に入れてしまうことがあるのです。

自己アピールや診断は当てにしてはいけません。
ASDと自己愛性人格障害を自分で見分ける必要があります。
ASDと自己愛性人格障害の大きな違いは、自己アピール、押し付け、論理力です。
いずれも、日頃のコミュニケーションに表れるため、自己愛性人格障害者もごまかすことができません。
自称ASD(アスペルガー)がズレた話を一方的にしてきたら、自己愛性人格障害を疑うといいでしょう。