ストーカーの特徴・自己愛性人格障害(NPD)

ストーカーとは、特定の人につきまとい嫌がらせをする人のことです。
ストーカー行為は、恋愛感情に限らず、毒親DV加害者、熱狂的なファンが行うこともあります。
ストーカーはエスカレートすると、相手を刃物で殺害する、硫酸をかけるといったリベンジ事件を起こすこともある危険人物です。
ストーカーは、自分が加害者なのに、「自分は被害者だ」と認識する異常な心理状態となっています。
ストーカーは、自己愛性人格障害NPD自己愛性パーソナリティ障害)という病気の可能性が高いです。
そもそも、健全な人は、相手に振り向いてほしいと思ったとしても、ストーカー行為などしません。
ストーカーに常識的な話が通じないのは、精神病だからなのです。

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ストーカー行為は、一昔前までは、行き過ぎた恋愛感情としか考えられていませんでした。
しかし、近年、ストーカー行為は、病的な行動であることが分かってきました。
ストーカーの供述から、ストーカーの多くは自分が被害者だと認識し、「自分を苦しめる相手が悪い。自分は相手にペナルティを与えているだけだ。」と考えていることが分かったのです。
つまり、ストーカーの行動原理は、認知の歪みによる被害者意識なのです。
被害者意識は、自己愛性人格障害(NPD)によく見られる症状です。
そのため、ストーカーの多くは、自己愛性人格障害という精神疾患だと考えられるのです。

ストーカーは、ターゲットを殺害しようとすることもある、とても危険な存在です。
ストーカー行為を止めさせ、大きな危害を防ぐには、ストーカーの行動原理を知っておく必要があります。
自己愛性人格障害を理解することは、ストーカーの思考と行動を理解するのに役立ちます。
自己愛性人格障害は、特別意識、自己中心性、共感力欠如を特徴とする病気です。

【目次・ストーカーの特徴】

それぞれの特徴について、解説していきたいと思います。
ストーカー対処のポイントについて、最後に解説します。

相手より自分が優位だと思っている

ストーカーは、自分が“主”で、相手が“従”の主従関係だと認識しています。
相手は自分に従うべき人間だと、見下げる思考になっているのです。
別れた元パートナーなら「下側の相手は自分に従うべき立場だ」、毒親なら「子供は親に従うべき立場だ」、熱狂的なファンなら「有名人はお金を出すファンに従うべき立場だ」などと考えています。

“相手は自分に従うべきだ”という歪んだ認知が、ストーカーの核心です。
この歪んだ認知で思考するため、相手が自分に従わないと、裏切りだと逆恨みを募らせるのです。
ストーカーは“小さな暴君”だと捉えると、分かりやすいでしょう。
これは、自己愛性人格障害の上下関係を利用したり、押し付けたりする特徴によるものなのです。

このように、ストーカーは、“相手は自分に従うべきだ”という歪んだ認知が思考のベースなのです。

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相手が自分の思い通りならないと気が済まない

ストーカーは、相手に裏切られた自分が被害者だと、歪んだ被害者意識を募らせています。
ストーカーの中では、相手が悪い加害者で、自分は純粋な被害者だという認知なのです。
自分が被害者だと認識しているため、ストーカー行為に罪悪感を全く持っていません。
多くのストーカーが、警察やカウンセラーに、自分の気持ちの苦しさを訴えるそうです。

自己愛性人格障害の特徴に、自己中心性があります。
自己愛性人格障害の自己中心性は強烈で、非論理的な自己正当化や自己都合の曲解を平気で行います。
そのため、ストーカーは、“自分が被害者だから、相手に罰を与える権利がある”という、常軌を逸した自己正当化に行き着くのです。
普通の人には信じがたいことですが、これがストーカーワールドなのです。

このように、ストーカーは、自己都合の被害者意識が行動原理なのです。

関連記事:「自己中心性とは?自己愛性人格障害の特徴」

相手の気持ちが想像できない

なぜ、ストーカーは好意を持つ相手を傷つける行動をとるのでしょうか?
好きな人には優しくする、傷ついてほしくないと思うのが、普通ですよね。

自己愛性人格障害者は、共感力が欠如しているのが特徴です。
自己愛性人格障害者は、人の気持ちに無関心で、自分の気持ちだけ大事にするモンスター人格なのです。
「ストーカー行為は相手を傷つけるからダメ」と注意を受けても、言葉の意味を理解できません。
ストーカーに、相手の気持ちを考えるよう諭しても無駄なのです。

このように、ストーカーは、共感力欠如から罪悪感がなく、人を傷つける行動が平気なのです。

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まとめ

ストーカーが自己愛性人格障害であり、独特の行動原理を持つことについて解説しました。
自己愛性人格障害特有の格付意識、自己中心性、共感力欠如が、ストーカーのベースとなっているのです。

ストーカーの一番の危険性は、逆上すると、相手に殺傷などの大きな危害を加えることです。
大きな危害を予防するには、ストーカーを逆上させないことが重要です。
例えば、SNSでストーカーのアカウントをブロックするのは、逆上させやすい行動です。

ストーカー行為を受けると、怖さや気持ち悪さがあるでしょう。
しかし、感情的なリアクションをすると、ストーカーが逆上してしまうので、冷静に対処しましょう。
ストーカーは、相手を下に見ているので、一人だけで対処するのはリスクが高いです。
自己愛性人格障害者は、強い人に弱く、自分の損得に敏感です。
ストーカー行為を続けたら自分が損すると感じさせるのが、一番効果があります。
周囲の人や警察、弁護士などに相談して、強い味方を付けることが大事です。