ヘリコプターペアレントの特徴・自己愛性人格障害の連鎖

ヘリコプターペアレントとは、毒親の一種で、極端な過保護や過干渉によって、子供の自立心や自己肯定感を奪う親のことです。
ヘリコプターペアレントの特徴は、子供を甘やかして、子供の望むことなら何でもしてやり、適切な躾を全くしないことです。
子供を溺愛し甘やかすケースもあれば、子供を束縛して行動を制限するケースもあります。
ヘリコプターペアレントに育てられた子供は、自己愛性人格障害NPD自己愛性パーソナリティ障害になりやすいというリスクがあります。
自己愛性人格障害とは、自己中心性、共感力の欠如、承認欲求などを特徴とする精神疾患です。
自分の思い通りにならないと癇癪を起こして暴れる、人の気持ちを想像できず平気で人を傷つけるといった問題行動が見られます。
ヘリコプターペアレント自身も、自己愛性人格障害である可能性が高く、障害の連鎖となっていると考えられます。
発達障害は生まれつきの障害ですが、自己愛性人格障害は成育環境によって連鎖してしまうのです。

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現在、叱らない子育てや、個性を尊重する子育てが持てはやされる一方で、ヘリコプターペアレントの家庭が社会問題となっています。
ヘリコプターペアレントの子供は、不登校になる、癇癪で暴れる、同級生をいじめるといった問題を抱えやすいからです。
ヘリコプターペアレントは子供を溺愛するあまり、子供が失敗しないように先回りしてお膳立てをする、子供が苦手なことを代わりに全てやってやる、学校や大学に自分の子供を優遇するよう要求するといった行動を取ります。
子供が大学生や社会人になっても子離れせず、いつまでも子供扱いして干渉を続ける傾向があります。
子供が一人暮らしを始めても、SNSで頻繁に子供に指示を出したり、近況報告させたりして、束縛し続けるのです。
このような行動によって、子供の自立心や自己肯定感が育まれない、学校や社会で子供が恥をかくといった悪影響が出ます。
就職しても仕事が長続きせず、実家に依存して引き込もりとなるケースも多いです。
さらには、ヘリコプターペアレントが、子供の犯罪行為に加担したり、隠蔽しようとしたりするケースすら発生しています。
ヘリコプターペアレントの家庭は、親が主導権を握っているケースもあれば、子供が主導権を握っているケースもあります。

なぜ、ヘリコプターペアレントは、子供を極端に溺愛し、過保護や過干渉になるのでしょうか?
ヘリコプターペアレントは、自己愛性人格障害(NPD)という精神疾患の可能性が高いです。
自己愛性人格障害者は、自己中心性が強いため、自分の子供を思い通りにしたいという欲求が強く働くのです。
そして、自己愛性人格障害の原因は、幼少期に甘やかされて適切な躾を受けずに育つことです。
つまり、自己愛性人格障害者はヘリコプターペアレントになりやすく、その親に過保護に育てられた子供もまた自己愛性人格障害になりやすいという、障害の連鎖が起きているのです。
ヘリコプターペアレントにどっぷり依存した子供は重度の自己愛性人格障害となり、ヘリコプターペアレントの異常性を忌避した子供は障害を回避するか、軽度で済むと考えられます。

【目次・ヘリコプターペアレントとその子供の特徴】

  • 自己中心性
  • 共感力の欠如
  • 承認欲求
  • まとめ
  • それぞれの特徴について、解説していきたいと思います。

    自己中心性

    自己愛性人格障害の一番の特徴が、自分の思い通りにならないと気が済まないという、自己中心性です。
    自分の思い通りにならないと気が済まないという性質は、強い執着心や依存心、束縛につながります。
    ヘリコプターペアレントが子供に過干渉するのは、「子供を自分の思い通りにしたい」という支配欲によるものです。
    ヘリコプターペアレントは、自身の子供を独立した一つの人格だと考えることができず、「大事な所有物」だと思っているのです。
    また、ヘリコプターペアレントは、子供の学校生活が思い通りにならないと学校に理不尽なクレームを入れる、モンスターペアレントであることが多いです。
    親の愛情というのは、子供が将来、一人前の大人として自立できるように導くものです。
    ヘリコプターペアレントの溺愛は、本当の親の愛情ではなく、無責任な愛玩なのです。

    ヘリコプターペアレントに溺愛されて育った子供は、自分を甘やかしてくれる親を基準に物事を考えるようになります。
    親のように甘やかしてくれない、ワガママを聞いてくれない相手を悪者のように認識します。
    学校の先生や、職場の上司から注意されると、逆ギレしたり癇癪を起こしたりするので、不登校や引きこもりニートになりやすいのです。

    関連記事:「自己中心性とは?自己愛性人格障害の特徴」

    共感力の欠如

    自己愛性人格障害は、共感力が乏しく、人の気持ちを想像できないことが多いです。
    ヘリコプターペアレントが、子供に過干渉をするのは、子供の気持ちを想像できないからです。
    自立心や自己肯定感を求める子供の気持ちが理解できず、自分の思いを押しつけるのです。
    しかし、ヘリコプターペアレントは、自分は子供思いで模範的な親だと思い込んでおり、子供の気持ちに無関心であることを自覚することができないのです。

    ヘリコプターペアレントを見て育った子供は、共感力を身につけるきっかけがありません。
    人の気持ちを考えない親の振る舞いが普通だと認識してしまい、子供自身も自分本位な振る舞いをするようになってしまいます。
    人の気持ちを考えず、同級生に悪口を言う、迷惑をかける行動を取るといったことが原因で、同級生から避けられたり、いじめられたりします。
    共感力が欠如したまま大人になると、パワハラやカスハラをするようになります。

    関連記事:「共感力の欠如とは?自己愛性人格障害の特徴」

    承認欲求

    自己愛性人格障害は、過剰な承認欲求を満たすための行動を取ることも特徴的です。
    ヘリコプターペアレントの場合、周囲に自慢できる子供にしたいという欲求によって、過干渉を行うケースがあります。
    子供を有名大学に入れたい、医者や弁護士にしたい、有名企業の正社員になってほしいといった、親のエゴを子供に押しつけるのです。
    権力のあるヘリコプターペアレントは、裏口入学で子供を医学部に入れようとしたり、コネで大企業に入社させようとしたりします。

    ヘリコプターペアレントにチヤホヤされて育った子供も、承認欲求が過剰になりやすいです。
    周囲からチヤホヤされることを渇望し、SNSでのリア充アピールや、夜の街で異性から求められることなどで、承認欲求を満たそうとします。
    また、社会で成功できなかった場合、理想と現実のギャップが受け入れられず、引きこもりになるケースもあります。

    関連記事:「承認欲求とは?自己愛性人格障害の特徴」

    まとめ

    ヘリコプターペアレントと自己愛性人格障害の関係について解説しました。
    ヘリコプターペアレントは、自己愛性人格障害という精神疾患だと考えられます。
    そして、ヘリコプターペアレントの子供もまた自己愛性人格障害になりやすく、自己愛性人格障害が連鎖するのです。
    世間は、ベタベタと過保護・過干渉に育てられた子供を、バカにしたり見下したりするものです。
    しかし、子供は親を選ぶことはできず、親ガチャに失敗してヘリコプターペアレントに当たってしまったといえます。
    子供がワガママだから親が過保護になるのではなく、親が過保護だから子供がワガママになるのです。

    あなたの周りに、ヘリコプターペアレントはいませんか?
    ヘリコプターペアレントやその子供は、自己愛性人格障害である可能性が高いです。
    一見、外面が良くても、自己愛性人格障害者は、何かのきっかけでトラブルを起こすリスクがあります。
    よその家のことだから自分には関係ない、と軽く考えてはいけません。
    自分の子供がヘリコプターペアレントの子供に他害されていないか、ヘリコプターペアレントが自分に逆恨みをしていないかなど、気をつけた方がいいでしょう。