サイコパスとは?自己愛性人格障害との違い

サイコパス(精神病質者)とは、反社会性人格障害の一種です。
反社会性人格障害は、遺伝的要因があるサイコパスと、遺伝的要因のないソシオパスに分けられます。
サイコパスは、自己の利害が第一で、他者に対する思いやりや愛情が欠けている狡猾な性格が特徴です。

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サイコパスは、人体に強い興味を持つものの人命に無関心で猟奇的な事件を起こすサイコキラーが有名です。
しかし、このようなタイプは、サイコパスの中のごく一部です。
サイコパスの多くは猟奇性を持たず、特殊な事件を起こすことなく、社会に適応しています。

サイコパスは、自己中心的で共感力のない人の代名詞のように使われている言葉です。
しかし、自己中心性や共感力欠如を特徴とする精神病は、サイコパスだけではありません。
自己愛性人格障害NPD自己愛性パーソナリティ障害)も、自己中心性と共感力欠如を特徴とする代表的な病気なのです。
自己愛性人格障害者はサイコパスより多いため、サイコパスだと思っていた人が、自己愛性人格障害である可能性もあるでしょう。
サイコパスと自己愛性人格障害は、共通点がありますが、原因も本質も真逆です。

サイコパスの原因は、先天的な原因(遺伝)が5割、後天的な原因(成育歴)が5割だと考えられています。
遺伝的なサイコパスの素地があったとしても、成育歴に問題がなければ、他者を陥れるような人間性にはならないことが知られています。
成育歴の問題とは、幼少期に虐待を受ける、育児放棄されるといったことがあげられます。
一方で、自己愛性人格障害の原因は、親から溺愛を受け、甘やかされて育つことだと知られています。

・サイコパス… 遺伝+虐待・育児放棄が原因
・自己愛性人格障害(NPD) …甘やかされて育つことが原因

ソシオパスは、自己愛性人格障害者にとって相性が悪く、天敵のような存在です。
両者の本質を理解していれば、見分けるのは簡単です。

【目次・サイコパスと自己愛性人格障害を見分けるポイント】

それぞれのポイントについて、解説していきたいと思います。

こだわりを押しつけるのは、自己愛性人格障害

自己愛性人格障害は、価値観やマイルールを人に押し付けるという特徴があります。
自己愛性人格障害者は、ハラスメント気質であり、パワハラやモラハラの常習犯です。
自分の思い通りにならないと感情的になり、アンガーコントロールすることができません。
自己愛性人格障害者は、怒りっぽく、陰険な性格をしているのです。

サイコパスは、他者に対する興味が薄いため、他者の価値観に干渉することはありません。
サイコパスは、自分の利害に関わらないことについては、さっぱりしているのです。
冷静沈着であるため、感情的に暴力や暴言を働くこともありません。
自分の思い通りにならないことがあると、どうすれば思い通りになるかを考え、頭脳で解決します。

自己愛性人格障害は陰湿なモラハラ気質、サイコパスは冷静でさっぱりしていると覚えておくといいでしょう。

被害者意識が強いのは、自己愛性人格障害

自己愛性人格障害は、被害者意識が強い、卑屈な性格が特徴です。
自分に不都合なことがあると、被害妄想を膨らませ、相手を悪者だと認識します。
例えば、自分に非があって注意されたのに逆恨みする、恋人にフラれると裏切られたとストーカーになるといった行動が見られます。
自己愛性人格障害者は自分に自信がなく、コンプレックスが強い傾向があります。

サイコパスは、恐怖心をあまり感じないため、物怖じしない性格が特徴です。
サイコパスは、基本的に自分に自信を持っており、コンプレックスがありません。
そのため、サイコパスは、被害者ぶったり、弱者ぶったりすることはありません。
自分は被害者だという考え方をすることはなく、事態に冷静に対応するのです。
態度が堂々としており、頼りがいがあると人望を獲得する傾向があります。
起業や事業開拓といった冒険的な行動が得意で、社会的に成功するケースもあります。
一方、自己愛性人格障害者は、特別な自分に憧れるものの、臆病さから大胆な行動をとることはありません。

自己愛性人格障害は臆病で被害者ぶる、サイコパスは堂々としていて度胸があると覚えておくといいでしょう。

論理力が低いのは、自己愛性人格障害

自己愛性人格障害は、論理性や合理性が低く、精神論を好む傾向が強いです。
自己愛性人格障害者の話し方は、説得力がなく、賢さが感じられないことが多いです。
話の内容に整合性がなかったり、意見がコロコロ変わったりします。
また、根拠や理屈に基づいた行動が苦手であり、思いつきや思い込みで行動します。

サイコパスは、論理性や合理性、計画性が高く、効率的な行動をとります。
頭の良さと利害にシビアな性格から、仕事面で優秀なサイコパスも多いです。
サイコパスは、自分が非情な人間であることが悟られないよう、演技や表面的な気づかいをするという賢さもあります。
そのため、サイコパスは、人間的に魅力があると認識されることが多いです。
一方、自己愛性人格障害者の振る舞いは賢くなく、目上や異性に媚び、目下や同性には適当に対応することが多いです。
自己愛性人格障害者は、人によって態度を露骨に変えるため、基本的に嫌われています。

自己愛性人格障害は賢くなく嫌われやすい、サイコパスは賢く好かれやすいと覚えておくといいでしょう。

まとめ

サイコパスと自己愛性人格障害の違いについて、解説しました。
サイコパスと自己愛性人格障害は、自己中心性と共感力欠如が共通していますが、本質は真逆です。
モラハラ気質、被害者意識、精神論という特徴が見られたら、自己愛性人格障害です。
サイコパスは冷淡で大人びた性格であるのに対し、自己愛性人格障害は自分の思い通りにならないと癇癪を起こすような幼稚な性格をしています。