体育会系の特徴・自己愛性人格障害(NPD)

体育会系とは、上下関係や根性論を重視する価値観を持つ、人や組織のことです。
日本では、体育系の部活の中で、上下関係や根性論を植え付けることが多いため、体育会系と呼ばれています。
欧米の運動部では、戦略的に物事を考える能力を育成しますが、日本の運動部では、顧問や先輩に絶対服従させるという、洗脳的な指導が主流です。
体育会系の価値観は、自己愛性人格障害NPD自己愛性パーソナリティ障害)の性質と、よく似ています。
自己愛性人格障害は、支配欲、思考停止、承認欲求を特徴とする病気です。
体育会系の指導は、自己愛性人格障害を助長するもので、大きな問題があります。

日本には、「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉があり、体育会系を褒めそやす風潮があります。
昭和の頃から、体育会系は根性があると高く評価され、就職で有利でした。
また、女性の中には、スポーツマンは爽やかで誠実、というイメージを持っている人もいるでしょう。
しかし、近年は、学力が低く、言われたことしかできない体育会系を、疑問視する人が増えてきています。
また、体育会系の部活には、シゴキと称して後輩をいじめたり、隠れて喫煙したりする文化があり、精神性にも疑問を持たれるようになりました。
さらに、体育会系からは、保険金殺人や巨額の横領、集団レイプといった、大胆な事件を起こす人物も出ています。
体育会系に、運動能力以外の特別な人間性を期待するのは、間違いでしょう。

関連記事:「性加害とは?自己愛性人格障害の心理」

なぜ、体育会系は、他とは異なる独特な価値観を持つのでしょうか?
体育会系の人は、自己愛性人格障害(NPD)の可能性があります。
体育会系の心理的な本質は、支配欲、思考停止、承認欲求です。
これらの特徴は、自己愛性人格障害の代表的な症状なのです。
体育会系は、スポーツ精神と自己愛性人格障害の感覚が、融合したものだと考えることができます。
自己愛性人格障害の顧問が部活で指導し、影響を受けた教え子がまた顧問になるという連鎖により、自己愛性人格障害の性質が色濃く反映された、体育会系の価値観が定着したのでしょう。
体育会系の部活は、自己愛性人格障害者の製造装置といってもいいでしょう。
体育会系には、以下のような問題点があげられます。

【目次・体育会系の特徴】

それぞれの特徴について、解説していきたいと思います。

支配的な上下関係

体育会系の部活は、顧問を神格化し、顧問の指示は絶対という世界です。
顧問に萎縮し、ペコペコしている部員の様子は、はたから見ると異常です。
就職で体育会系が人気なのは、上司の指示に逆らわず、扱いやすいからという理由が大きいです。
しかし、最近は、指示出しを面倒くさがる管理職が増え、指示待ち社員を疎んじる傾向になっています。

体育会系を採用するデメリットは、他にもたくさんあります。
体育会系は、先輩後輩の上下関係に厳しく、先輩が後輩をいじめるケースは珍しくありません。
部活で後輩イジメをしていた人物は、職場でも後輩イジメをする可能性が高いです。
さらに、体育会系が管理職になると、パワハラやモラハラを行い、ブラック企業になるリスクがあります。
また、体育会系はOB同士で固まり、排他的な派閥を作る、という特徴もあります。
仕事の能力は低いのに社内政治は得意なタイプが出世する、生産性の低い会社に成り下がってしまうかもしれません。

自己愛性人格障害には、支配欲が強いという症状があります。
自己愛性人格障害は、目上に媚びへつらい、目下に横柄な態度を取るのが特徴です。
部活の顧問のような支配的な立場になりたいと、憧れを抱きます。
体育会系の上下関係は、まさに自己愛性人格障害者の感覚そのものです。
自己愛性人格障害者が体育会系の組織に入ると、助長して傍若無人に振る舞います。

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根性論・精神論

根性論・精神論とは、戦略や理屈を持たず、気合や熱意だけで成果を出せるという考え方です。
体育会系が根性論を好む理由は、頭が悪く、頭脳で物事を解決することができないからです。
体育会系の部活では、部員の肉体ばかり鍛えさせ、思考力を鍛えません。
顧問自身の思考力が低いため、部員の思考力を鍛えることができないのです。
さらに、強豪校では、部活で活躍している生徒は特別扱いされ、学力テストが免除されます。
大学進学もスポーツ推薦を利用するため、勉強を全然しないまま、社会人になってしまいます。
学生時代に運動部に所属していても、根性論に染まらない合理的な人は、体育会系とは呼ばれません。

体育会系の多くは、計画する能力、分析する能力、戦略を立てる能力が低いです。
そのため、計画性がなく、思いつきや思い込みで、短絡的な行動を取ります。
仕事の効率や質が悪い体育会系は、労働時間の長さや仕事量を、アピールしようとします。
例えば、徹夜自慢は、体力や根性を誇示したい体育会系によく見られます。
長時間労働、過剰なノルマ、やりがい搾取のブラック企業について行けていると、自慢することもあります。

さらに、思考力の低さは、コンプライアンス意識や善悪の判断にも、悪影響を与えます。
思考力が低いほど、成果を上げるためなら、どんな手段を使ってもいいと考えがちになります。
そのため、詐欺などの不正な手段や、強引なやり方に手を染めてしまうことがあるのです。

自己愛性人格障害には、思考停止という症状があります。
自己愛性人格障害者は、頭を使うことを面倒くさがる性質があり、思考力が低いケースがよくあります。
自分では何も考えず、上からの指示や慣習に盲目的に従います。
従属することしかできない自分を、忠誠心があると美化し、他者に同調圧力をかけます。
体育会系の根性論は、思考停止型の自己愛性人格障害者には、都合がいいのです。

歪んだ競争心

体育会系は、自己顕示欲が強い、ギラギラした人や、ガツガツ人が多いです。
体育会系の部活は、勝者と敗者、1軍と2軍など、成功者か否かという極端な世界です。
体育会系は、成功者も落ちこぼれも、人格面が歪んでしまう可能性があります。
成功者は、自分は特別だと勘違いし、謙虚さのない、思い上がった人物になることがあります。
落ちこぼれや体育会系以外の人を見下す、選民思想を持つ人は、少なくありません。
落ちこぼれは、大きな挫折を味わい、成功者への嫉妬で、心が歪んでしまいます。
体育会系では、挫折は人を強くする、という考え方があります。
しかし実際は、体育会系で挫折した人の多くは、自己肯定感の低い、卑屈で陰湿な人間性となります。
また、体育会系は、スポーツ推薦で私立大学に進学することが多く、社会で一流大学卒の人より下に扱われることで、ジェラシーを感じる人もいるようです。
このように、体育会系は、コンプレックスを抱え、自己顕示欲の塊の人が意外に多いのです。

体育会系は、協調性やチームワークに優れているというイメージを持たれていますが、自分のことしか考えていない人も、それなりに多いです。
チームのためではなく、自分にスポットライトが当たり目立つために、活躍したいのです。
大人になっても、周囲にチヤホヤされることを求め、収入や勤め先を自慢します。

自己愛性人格障害には、承認欲求が強いという症状があります。
理想の自分と現実の自分とのギャップが大きく、自己肯定感が低いことが、根底にあります。
また、周囲の評価からしか満足感を得ることができないため、見栄や世間体に執着します。
SNSでブランド品を見せびらかしたり、豪遊アピールしたりする人は、自己愛性人格障害と見て間違いありません。

関連記事:「承認欲求とは?自己愛性人格障害の特徴」

まとめ

体育会系と自己愛性人格障害の関係について解説しました。
体育会系の上下関係や根性論を尊ぶ価値観は、自己愛性人格障害の思考によく似ています。
体育会系に染まっている人は、自己愛性人格障害の可能性が高いです。

あなたの周りに、体育会系の人はいませんか?
これからの日本の会社は、体力と根性に頼るやり方ではなく、分析と戦略をベースにしたやり方に変わらないと、生き残れないでしょう。
体育会系を評価する風潮が、早くなくなることを願っています。