スピリチュアルにハマる人の特徴・自己愛性人格障害(NPD)

スピリチュアルとは、占い(占星術や数秘術)、死者との交信、宗教性などによって、幸福や癒しを得る考え方や方法論のことです。
気分転換として適度にスピリチュアルを取り入れる人がいる一方で、スピリチュアルにどっぷり傾倒し、霊感商法に高額のお金を費やしたり、勧誘活動をしたりする人も多いです。
スピリチュアル系にハマる心理的要因としては、依存心、特別願望、劣等感、承認欲求、被害妄想、不安症などがあげられます。
そして、これらの要因の根本的な原因として、自己愛性人格障害NPD自己愛性パーソナリティ障害)という病気が潜んでいる可能性が高いです。

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現在、スピリチュアル系を商材とするスピリチュアル系ビジネスは、拡大傾向にあるようです。
特に、スピリチュアル系に傾倒した有名人による宣伝は、影響力が大きいです。
スピリチュアル系にハマった人は、信者や信奉者と呼ばれます。
信者は熱心に高額を貢ぐ傾向があり、マルチ商法のような仕組みで稼ぐものもあります。
今では、占いや宗教ではなく、セミナーやカウンセリング、コーチングといった形で勧誘するケースも見られます。
また、スピリチュアル系にハマる人は、ナチュラル志向にも関心を持ち、ヴィーガンやベジタリアン、健康オタクになるケースが多いです。
悪質なものだと、西洋医学を否定し、高額で効果が不明な代替医療を勧めることもあります。

なぜ、スピリチュアル系にハマる人がいるのでしょうか?
スピリチュアル系にハマる人の多くは、自己愛性人格障害だと考えられます。
自己愛性人格障害は、自己中心性、特別意識、共感力欠如を特徴とする病気です。
自己愛性人格障害に由来する心理的要因によって、スピリチュアル系に傾倒してしまうのです。

【目次・スピリチュアルにハマる心理的要因】

それぞれの心理的要因について、解説していきたいと思います。

依存心

自己愛性人格障害の症状に、依存心があります。
依存心とは、誰かに頼りすがろうとする気持ちのことです。
自己愛性人格障害は、自分の頭で考えることが苦手で、「人生の答え」を教えてくれる人を求める傾向があります。
このタイプは、親や先生の前で「良い子」を演じていた人に多いです。
子供の頃から自分の頭で考えず、親や先生の指示や価値観に従ってきたことが原因です。
自立心が育まれないことで、大人になっても自分で目標や行動を決められず、親や先生のように導いてくれる人を求め続けることになります。
そのため、人生相談の相手として、スピリチュアル系に頼るのです。
スピリチュアル系は答えのみを教え、自分で考えることを促さないため、思考停止した信者となってしまいます。
スピリチュアル仲間同士で、互いに褒め合い、都合の悪いことは言わない共依存の関係となることもあります。

特別願望

自己愛性人格障害の症状に、特別願望や特別意識があります。
特別願望とは、特別な自分や特別な人生を求めることです。
特別意識とは、自分は特別だと無意識に思い込むことです。
特別願望や特別意識のある人は、普通の人からの常識的な助言に興味を持たず、特別な人からの特別な助言を望む傾向があります。
つまり、このタイプは、自分は特別な人に選ばれた存在だという選民意識によって、スピリチュアル系にハマるのです。

特別願望が強い人は、努力嫌いであることが意外に多いです。
そのような人は、自身の努力不足や甘さを指摘されるのを嫌います。
このタイプの人は、平凡な石の自分を特別な金に変えてくれる錬金術を求めているのです。
それを叶えてくれるのが、スピリチュアル系という訳です。
スピリチュアル系は、努力を説くことはなく、祈りや貢ぎによって特別になれると甘い言葉で誘うのです。

特別意識が強い人は、実は臆病で、特別な集団に属することを好みます。
このタイプの人は、特別な集団の一員である自分に、優越感と安心感を覚えるのです。
スピリチュアル集団の中で昇格することや、特別な力を身につけたと標榜することで、自分は特別だと満足します。
強気なタイプだと、独立してスピリチュアル集団を立ち上げ、自らが指導的立場になることもあります。
この場合、自分に盲目的に従う信者だけを集め、自分が安心できる群れを作ります。

劣等感

自己愛性人格障害の症状に、劣等感や自己嫌悪があります。
この劣等感や自己嫌悪は、強い特別願望や特別意識の裏返しで生じるものです。
つまり、理想が高すぎるせいで、「理想の自分」に全然届かない「現実の自分」を受け入れられないのです。
このタイプにとって、特別な容姿を持たない自分、特別な学歴や肩書のない自分に対する不満は、大きな苦しみなのです。
このような過剰なコンプレックスは、周囲の人から理解や共感を得られないため、劣等感の強い人は精神的に孤独になります。
そのため、このタイプは自己肯定感を高めてくれる存在を渇望します。
スピリチュアル系は、信者に自己肯定感を高める言葉をたくさん与え、表面的に良き理解者となることで、信者を依存させます。

承認欲求

自己愛性人格障害の症状に、過剰な承認欲求があります。
承認欲求とは、他者からの評価や注目を求めることです。
承認欲求が過剰だと、褒めや賞賛のみを求め、注意や批判を拒絶するようになります。
このタイプにとって、自分を褒め続け、批判をしない人が、善人なのです。
スピリチュアル系は、信者に褒めをたっぷり与え、批判する人は敵だと指導することで、洗脳を行います。
また、信者自身がそのような指導を望み、満足しているのです。
自己愛性人格障害者は、健全な人に比べて洗脳されやすいのです。

被害妄想

自己愛性人格障害の症状に、被害妄想や被害者意識があります。
被害妄想癖のある人は、自分に不都合なことがあると何でも他者のせいにし、「嫌がらせをされている」、「いじめられている」と主張します。
また、被害者意識の強い人は、自分は常に被害者側だと認識しており、自己防衛のつもりで他者を攻撃します。
この特徴もまた、自己愛性人格障害が洗脳されやすい原因となります。
このタイプは、自分の味方をするスピリチュアルの指導者を盲信し、常識的な助言をする人を敵と認識してしまうのです。
例えば、厳しい指摘をする人や自分の間違いを諭す人に対して、「裏切られた」、「敵に洗脳されている」と主張し、後足で砂をかけるような言動をとります。
親族や友人を敵とみなし、自分から絶縁してしまうこともあります。
また、スピリチュアル仲間の中で「共通の敵」を設定して攻撃することで、さらに結束を固めようとします。

不安症

自己愛性人格障害の症状に、不安症があります。
これは、依存心や猜疑心と関係があります。
依存心が強い人は、一人の状態を恐れ、依存できる人が側にいないと安心できません。
また、猜疑心が強い人は、無闇矢鱈に人を疑い、被害妄想によって不安に陥ります。
スピリチュアル系は、この不安症も巧みに利用します。
スピリチュアル系信者にとっては、指導者に見捨てられることが一番の不安の元です。
「褒める、甘やかす」というアメと、「自分に従わないと見捨てる」というムチを使い分け、信者の依存度を深めるのです。

まとめ

スピリチュアル系にハマる心理的要因について解説しました。
自己愛性人格障害の症状である依存心、特別願望、劣等感、承認欲求、被害妄想、不安症は、スピリチュアル系にハマる大きな要因となります。
スピリチュアル系にハマる人の多くは、自己愛性人格障害とみられます。

あなたの周りに、スピリチュアル系にハマっている人はいませんか?
自己愛性人格障害は、自己中心性が高く、自分が信じるものが絶対正しいという考え方をします。
また、共感力の欠如のため、他者の気持ちや価値観に配慮することはありません。
スピリチュアル系の勧誘する人は、自分のことしか考えていないため、信用しないようにしましょう。