マルチ商法にハマる人の特徴・自己愛性人格障害

マルチ商法は、自分の利益のために、人間関係を利用して勧誘をする悪徳商法です。
マルチ商法は、末端の加盟者から搾取する形で、本部の幹部だけが儲かる仕組みとなっています。
マルチの加盟者は借金を負い、友人知人からも絶縁され、人生のどん底に転落してしまいます。
また、違法な勧誘行為をすれば、末端の加盟者であっても逮捕されます(事例あり)。
マルチ商法にハマる人は、自己愛性人格障害NPD自己愛性パーソナリティ障害)という病気の可能性が高いです。
マルチ商法の加盟者は、損得勘定、承認欲求、自己中心性といった特徴が見られることが多いからです。

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最近、マルチ商法に騙される若者が増加しており、社会問題となっています。
マルチ商法は違法ではないと主張する人もいますが、実態は投資詐欺であることが多いです。
例えば、暗号資産(仮想通貨)への投資を誘う「モノなしマルチ」による被害が増加しています。
マルチ業者は、副業や自己啓発などのセミナーで、不労所得に興味がある人や将来不安がある人に勧誘を行います。
また、TwitterやInstagramのようなSNSにも、マルチ業者による勧誘投稿が溢れています。
高額の預金画面に一攫千金を謳う文言を添えた投稿をたくさん流し、マルチであることを隠して興味を誘っています。

また、マルチ商法は、宗教や自己啓発のカルトと似た特徴を持っており、「商業カルト」とも呼ばれます。
例えば、マルチ商法の加盟者は、宗教カルトと同じように、勧誘ノルマが課されます。
また、定期的にセミナーに参加させられ、このビジネスは絶対的に正しいと洗脳されます。
そのため、カルト宗教にハマる人と、マルチ商法にハマる人には共通点があります。
それは、特別なグループに所属しているという自己満足や依存心、思考停止です。

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常識のある人は、マルチは詐欺の一種だと分かっているので、興味を持つことはありません。
マルチにハマる人は、自己愛性人格障害(NPD)という精神疾患が多いと考えられます。
自己愛性人格障害には、損得勘定、承認欲求、自己中心性といった症状があり、マルチ商法に騙されやすい素地があるのです。

【目次・マルチ商法にハマる人の特徴】

  • 損得勘定
  • 承認欲求
  • 自己中心性
  • まとめ
  • それぞれの特徴について、解説していきたいと思います。

    損得勘定

    損得勘定が強い人は、一攫千金や不労収入の話に興味を持ちやすいです。
    「ラクして儲かる」、「誰でもチャンスをつかめる」、「学歴、年齢、経験不問」といった甘いフレーズに弱く、マルチの勧誘に引っかかりやすいのです。
    「高配当が得られる」という話を信じて投資のために借金をする、「勧誘やスキルアップによって将来的に高収入になれる」という話を信じて高額な入会金やセミナー料を払うなど、詐欺のカモとなってしまいます。
    また、損得勘定で動く人は、自分が得することしか頭になく、他の人の損や迷惑には無関心です。
    紹介料やマージンで稼ぐために、自分自身もマルチの勧誘側となり、友人知人に声をかけるのです。
    この時、縁が切れても問題ない、付き合いの薄い人や下に見ている人から勧誘するという、小賢しさが見られます。
    このように、マルチにハマる人は、お金も友人も失い、誰からも助けてもらえなくなるのです。

    自己愛性人格障害は、損得勘定が強いという特徴があります。
    自己愛性人格障害者は、「自分だけ得したい」、「自分だけ損するのは嫌だ」という考え方をするのです。
    普通の人なら、「旨い話なんてない」と信じない話でも、自己愛性人格障害者は真に受けてしまいます。
    日頃から損得に執着し、ケチな人、せこい人と思われているのが特徴です。

    関連記事:「自己愛性人格障害の3タイプ 承認欲求・支配欲・損得勘定」

    承認欲求

    承認欲求が強い人は、特別な自分になって、人からチヤホヤされることを望みます。
    夢、成長、自己実現といった言葉で、承認欲求を煽られるのに弱いため、マルチ商法に取り込まれやすいです。
    例えば、マルチ業者が流すSNSの金持ち自慢やリア充アピールの投稿を本当だと信じ、自分もそうなりたいと、セミナーに参加します。
    そして、セミナーで、主催者が大金を手にした話を聞かされ、自分も成功者になりたいと、マルチの会員になってしまうのです。
    マルチの会員になった自分に特別感を持ち、他の同世代より偉くなった気分になります。
    マルチを否定する人に対して、「貧乏人の僻み」、「ビジネスを理解できないバカ」と言って、見下します。

    また、承認欲求が強い人の中には、組織内で評価されることに、やりがいを感じるタイプもいます。
    このタイプは、自ら進んで、マルチ業者にやりがい搾取されてしまいます。
    勧誘ノルマの達成や、それによる組織内での昇進にのめり込み、自分が成長していると錯覚するのです。
    マルチ業者は、会員に精神論・根性論で発破をかけ、きついノルマを押しつけます。
    ノルマを達成できた会員には「優秀だ」と賛辞を与え、達成できなかった会員には、努力不足だと罵倒します。
    このように、マルチにハマる人は、都合の良い駒として、使い潰されるのです。

    自己愛性人格障害は、承認欲求が強いという特徴があります。
    表面的なキラキラ感やカッコよさに興味を持ちやすく、金持ち自慢する成金に憧れやすいです。
    要領がよくないタイプは、人一倍の努力で、特別な自分になろうとします。
    いずれにしろ、自分が特別になることしか頭になく、中身がないのが特徴です。

    関連記事:「承認欲求とは?自己愛性人格障害の特徴」

    自己中心性

    自己中心性が強い人は、自分の利益のために、平気で人を利用します。
    マルチ商法は、人間関係のしがらみを利用した、断りにくい勧誘方法で問題となっています。
    マルチ商法は理論上、ピラミッド構造の上に行くほど、儲かる仕組みになっています。
    マルチの会員は、「良いビジネスだから一緒に儲けよう!」と、友人知人を勧誘します。
    しかし、本当は、自分より格下の層を形成することで、自分が搾取する側になるために、勧誘をしているのです。
    つまり、友人知人を自分の養分にしようと画策している訳です。
    倫理観がなく、強引な勧誘や騙し討ちなど、目的のための手段も選びません。

    また、自己中心的な人には、自分に落ち度があっても、被害者面して逃げる無責任さが見られます。
    マルチの会員は、違法性を知らなかったと言い訳し、自分も騙された被害者だと主張します。
    さらに、自身の勧誘が原因で知人から絶縁されると、冷たい、薄情だなどと、相手を悪く言います。
    このように、マルチにハマる人は、身勝手な性格を見抜かれ、孤立する運命を辿るのです。

    自己愛性人格障害は、自己中心性が強いという特徴があります。
    人をコントロールすることに興味を持ち、どのようにしたら人を騙せるか、どうしたら自分のために働かせられるか、という考え方をします。
    自分の思い通りにならないと癇癪を起こし、怒ったり泣いたりして、情緒が不安定であることが多いです。
    そのため、パワハラやモラハラの加害者となりやすく、人望がないのが特徴です。

    関連記事:「自己中心性とは?自己愛性人格障害の特徴」

    まとめ

    マルチ商法にハマる人の特徴について解説しました。
    損得勘定や承認欲求、自己中心性が強い人ほど、マルチ商法に傾倒しやすいです。
    これらの症状を持つ自己愛性人格障害者は、マルチ商法のカモといっても過言ではありません。
    マルチ商法に騙されるのは、20代の若者が一番多いという統計がありますが、若さや無知が原因ではないのです。

    あなたの周りに、マルチにハマっている人はいませんか?
    何年も会っていない知人や同級生から急に連絡が来たら、マルチの勧誘かもしれません。
    詳しい目的を告げずに、「会わせたい人がいる」、「良い話がある」などと、曖昧に誘う場合は、その可能性が高いです。
    マルチ会員は、このビジネスは正しいと信じ込んでいるため、止めるよう説得しても無駄です。
    契約するまで帰さないなど、強引な勧誘をすることもあるため、怪しい知人には会わないのがベストです。