共感力の欠如とは?自己愛性人格障害の特徴

共感力(共感性)とは、相手の気持ちや立場を想像する能力のことをいいます。
思いやりや気遣いと同じ意味になります。
共感力が欠如した人は、無自覚で人を傷つけ、嫌な思いをさせてしまいます。

人の気持ちが想像できない特性と言うと、発達障害を思い浮かべる人もいるでしょう。
しかし、人の気持ちが想像できない人の多くは、先天性の発達障害ではなく、後天性の自己愛性人格障害NPD自己愛性パーソナリティ障害)なのです。
共感力は、幼少期に環境から学習するものです。
つまり、共感力が欠如する原因は、親から「思いやりの習慣」を教わらないことなのです。
「人に思いやりを持ちなさい」、「人の気持ちを想像しなさい」といった躾を受けずに育つと、共感力は育まれません。
そもそも、親自身も共感力が欠如しており、変わり者一家であるケースが多いです。

自己愛性人格障害の共感力欠如が引き起こす症状は、ハラスメント、自省のなさ、被害者意識です。

【目次・共感力欠如が引き起こす症状】

それぞれの症状について、解説していきたいと思います。

ハラスメント気質となる

自己愛性人格障害者の多くは、ハラスメント気質であることが多いです。
現在、パワハラ、モラハラ、セクハラ、カスハラなど様々なハラスメントがありますが、その加害者の多くは自己愛性人格障害者なのです。
学校でのイジメや家庭内暴力、虐待もある種のハラスメントですが、これも同様に、自己愛性人格障害者が加害者であることが多いです。
自己愛性人格障害がハラスメント気質につながるメカニズムに、共感力欠如が関わっています。
自己愛性人格障害者は、共感力欠如により、ハラスメントを受けた側の気持ちを想像できません。
ハラスメント被害者が辛い気持ちになることや、被害者の家族や友人が悲しむことが理解できていないのです。
自己愛性人格障害者は、無自覚で人を傷つけるモンスター人格と言っていいでしょう。

また、自己青性人格障害者は、「ありがた迷惑」や「余計なお世話」をすることも多いです。
本人は良かれと思って親切をしたつもりが、相手にとっては迷惑というパターンです。
「ありがた迷惑」や「余計なお世話」も、頻度が多いとハラスメントとなるでしょう。
例えば、自分が欲しいものを人にプレゼントする、自分の趣味や考えを人に押し付けるといったことです。
これも共感力が欠けていることにより、自分の好みや考えしか頭になく、相手にも好みや考えがあることを想像できないからなのです。

このように、自己愛性人格障害は共感力欠如により、ハラスメントモンスターとなるのです。

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反省することができない

自己愛性人格障害者の多くは、反省せず、思いやりに欠ける言動を繰り返すことが多いです。
自己愛性人格障害が学習能力欠如につながるメカニズムにも、共感力欠如が関わっています。
自己愛性人格障害者は、共感力の欠如から、自分が人を傷つけた、嫌な思いをさせたという自覚を持つことができません。
そのため、自分の言動を反省することができず、自己中心的な言動を直すことができないのです。
自身の言動を非難されると、「思ったことをそのまま言っただけ」、「悪気はなかった」などと言い訳をします。
さらには、「思ったことを言うことは悪いことなのか?」、「相手のために何でも我慢しないといけないのか?」と言って開き直ったり、逆上したりすることすらあります。
周囲は、共感力が欠如していること自体を問題視しているのに、本人は「元々の性格だから仕方がない」、「個性だと認めてほしい」と甘く考えているのです。
自己愛性人格障害者は、決して反省することも謝罪することもありません。

このように、自己愛性人格障害は共感力欠如により、自省できない不毛な人格となるのです。

被害者意識を持つ

自己愛性人格障害者の多くは、被害妄想を抱くことが多いです。
自己愛性人格障害が被害妄想につながるメカニズムにも、共感力欠如が関わっています。
自己愛性人格障害者によって傷つけられた人や嫌な思いをさせられた人は、当然、自己愛性人格障害者を避けるようになります。
しかし、自己愛性人格障害者は、自分が悪いことをしたという自覚を持つことができません。
そのため、周囲が自分を一方的に避けていると認識してしまうのです。
「自分は何も悪くないのに、周りから無視されている。自分はいじめられている。」というのが、自己愛性人格障害の思考です。
一方的に被害者意識を募らせた結果、相手を逆恨みし、ストーカー行為やリベンジ行動をすることもあります。

このように、自己愛性人格障害は共感力欠如により、被害者ぶって逆恨みする危険な人格となるのです。

まとめ

自己愛性人格障害の共感力欠如について解説しました。
自己愛性人格障害について知識のある人は、承認欲求やコントロールといったキーワードを知っているでしょう。
しかし、自己愛性人格障害の症状で最も悪質なのは、共感力の欠如といっても過言ではありません。
共感力が欠如しているからこそ、自己愛性人格障害者は、衝動的に人を傷つけたり、日常的に人に嫌な思いをさせたりするからです。

あなたの周りに、思いやりや気遣いが欠けている人はいませんか?
そういう人がいたら、性格だと思わずに、自己愛性人格障害を疑ってみましょう。
自己愛性人格障害は、ほとんど治らない病気です。
さらに、深い関わりになると、要求やいじめ、依存のターゲットにされる可能性があります。
身近に思いやりのない人がいたら、性格が変わることを期待せずに、浅い関係性を保つようにしましょう。