自己愛性人格障害と発達障害(ASD・ADHD・LD)の違い

発達障害とは、生まれつきの脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴的な症状が見られる障害です。
発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)注意欠如・多動症(ADHD)学習障害(LD)があります。
最近は、発達障害の知識が広がったこともあり、症状が比較的軽いグレーゾーンの人が、大人になってから発達障害だと診断されるケースが増えています。
しかし、大人の発達障害や自称発達障害は、自己愛性人格障害NPD自己愛性パーソナリティ障害)という別の病気の可能性があります。
自己愛性人格障害は、発達障害と症状が似ている部分があり、発達障害だと誤診されやすいからです。

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現在、発達障害の子供や、大人の発達障害が増えていると言われています。
それまで、「変わった子供」、「変わった人」と思われていた人に、きちんと診断名が付くようになったからだと考えられます。
しかし、発達障害の診断は問診によって行うため、医師の判断にバラツキがあることが指摘されています。
例えば、自己愛性人格障害は、発達障害と症状が似ている部分があり、発達障害だと誤診される可能性があります。
発達障害が生まれつきの障害なのに対し、自己愛性人格障害は、親が子供を溺愛したり放任したりして、適切な躾を受けずに育つことで発症する精神疾患です。
つまり、成育歴について確認せず、表面的な問診や本人の主張だけで杜撰な診断が行われた場合、自己愛性人格障害が発達障害だと誤診されてしまうのです。

・発達障害(ASD・ADHD・LD) … 先天性(生まれつき)の障害
・自己愛性人格障害(NPD) … 後天性(育った環境が原因)の障害

症状が似ていても、発達障害と自己愛性人格障害は全く別物であり、本質も対処法も異なります。
身近にトラブルメーカーがいた場合、その人が発達障害なのか自己愛性人格障害なのかを、見分けることが大事になります。

【目次・発達障害と自己愛性人格障害の違い】

それぞれの障害と自己愛性人格障害との違いについて、解説していきたいと思います。

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉症スペクトラム症(ASD)とは、コミュニケーションが苦手であり、自身の興味やこだわりが強いという特性が見られる障害です。
具体的には、言葉や視線、表情、身振りなどによって相手の気持ちを読み取る、自分の気持ちを伝えるといったことが苦手です。

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自己愛性人格障害(NPD)は、共感力の欠如から、相手の気持ちを理解しようとせず、自分の気持ちや意見を押し付けるという特徴があります。
そのため、自己愛性人格障害が、ASDのグレーゾーンだと誤診される可能性があります。
例えば、自己愛性人格障害者は、相手や周囲の気持ちを考えずに発言するため、「空気が読めない」と言われるケースが多いです。
また、自分の意見を一方的に他者に押し付けるモラハラも多いです。
単なる我儘による「コミュニケーション下手」と、ASDは根本的に異なるものです。
自己愛性人格障害の代表的な特徴に、自己正当化があります。
自己愛性人格障害者は、「コミュニケーションが苦手なのはASDのせいだ」という言い訳がしたくて、ASDの診断を欲しがることがあるのです。

共感力が欠如している自己愛性人格障害者は、親から「思いやりを持ちなさい」、「相手の気持ちを考えなさい」という躾を受けず、コミュニケーション不全で育ったケースが多いです。
コミュニケーション不全親自身も、「思ったことをそのまま言って何が悪いの?」と考えているのです。
共感力が欠如した自己愛性人格障害者は、人格否定や誹謗中傷などを平気でします。
そのくせ、自分が少しでも指摘を受けると、「傷ついた、苦しい、責任を取れ」と逆上します。

このように、コミュニケーションが苦手な子供や大人は、ASDではなく、自己愛性人格障害である可能性があるのです。

注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症(ADHD)とは、多動性・衝動性が強い、不注意が多いという特性が見られる障害です。
具体的には、落ち着きがない、時間を待てない、注意が持続しにくい、作業にミスが多いといった特徴が見られます。

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自己愛性人格障害(NPD)は、自己中心性の高さから、我慢するのが嫌い、思いつきで行動するといった特徴があります。
そのため、自己愛性人格障害者が、ADHDのグレーゾーンだと誤診される可能性があります。
例えば、自己愛性人格障害者には、ルールや約束の時間を守るための我慢や計画ができないタイプが多く見られます。
また、思いつきで行動し、周囲を振り回すこともよくあります。
単なる我儘による「我慢嫌い」や「思いつき行動」と、ADHDは根本的に異なるものです。
自己愛性人格障害の代表的な特徴に、自己正当化があります。
自己愛性人格障害者は、「我慢や計画が苦手なのはADHDのせいだ」という言い訳がしたくて、ADHDの診断を欲しがることがあるのです。

ルールや約束を守れない自己愛性人格障害者は、親から「ルールを守りなさい」、「約束を守りなさい」という躾を受けず、放任されて育ったケースが多いです。
放任親自身も、「なぜルールや約束を守らないといけないの?」という考え方をしているのです。
ルール嫌いの自己愛性人格障害者は、自分ではなくルールが悪いと考えます。
コロナ禍において、マスクをつけるという簡単なルールさえ拒否し、反論やデモをする反マスク信者が分かりやすい例です。

このように、我慢や計画が苦手な子供や大人は、ADHDではなく、自己愛性人格障害である可能性があるのです。

学習障害(LD)

学習障害(LD)とは、全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなどの特定の学習のみ困難であるという特性が見られる障害です。

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自己愛性人格障害(NPD)は、我儘な性格であり、自分が嫌いな勉強を避けるという特徴があります。
そのため、自己愛性人格障害者が、LDのグレーゾーンだと誤診される可能性があります。
例えば、自己愛性人格障害者には、本が嫌い、文章を読み書きするのが面倒くさいという「活字嫌い」が多く見られます。
また、努力や我慢ができない性格から、勉強嫌いであるケースも見られます。
単なる我儘による「活字嫌い」や「勉強嫌い」と、LDは根本的に異なるものです。
自己愛性人格障害の代表的な特徴に、自己正当化があります。
自己愛性人格障害者は、「学習が苦手なのはLDのせいだ」という言い訳がしたくて、LDの診断を欲しがることがあるのです。

活字嫌いや勉強嫌いの自己愛性人格障害者は、親から「本を読みなさい」、「勉強しなさい」という躾を受けず、甘やかされて育ったケースが多いです。
溺愛親は、「子供に勉強という苦労をさせたくない」という考え方をするのです。
勉強嫌いの自己愛性人格障害者は、試験のいらないAO入試で大学に行こうとする人が多いです。
また、溺愛親も子供のAO入試に賛成します。
「自分は勉強が苦手、でも、それ以外の個性が評価されるべき」、「ウチの子は勉強が苦手、でも、それ以外の個性が評価されるべき」という発想なのです。

このように、学習が苦手な子供や大人は、LDではなく、自己愛性人格障害である可能性があるのです。

まとめ

発達障害と自己愛性人格障害との違いについて、解説しました。
発達障害と自己愛性人格障害は、原因も根本的な性質も全く異なります。
しかし、表面的に似ている部分があるため、誤診されやすいです。
昨今増えていると言われている発達障害者の中に、多くの自己愛性人格障害者が紛れている可能性があります。

あなたの周りに、発達障害だという人はいますか?
発達障害だという診断や自己アピールは、鵜呑みにしない方がいいでしょう。
発達障害と自己愛性人格障害の大きな違いは、自己中心性や特別意識です。
自己中心的なハラスメント気質の人物は、自己愛性人格障害を疑うといいでしょう。