反社会性人格障害(ASPD)とは?自己愛性人格障害の天敵

反社会性人格障害(ASPD)とは、人格障害の一種で、反社会的な素行を特徴とするものです。
共感力の欠如や自己中心性、遵法意識の低さなどが特徴です。
反社会性人格障害の原因は、虐待や育児放棄といった劣悪な成育歴(環境要因)です。
環境要因に加えて遺伝的要因があるサイコパスと、遺伝的要因のないソシオパスに分けられます。

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人格障害とは、幼少期に悪い環境で育つことで、認知が歪むことによって発症する精神障害のことです。
反社会性人格障害は、虐待や育児放棄をされて愛情を受けずに育つことで、社会性を獲得できないことが原因です。
また、自己愛性人格障害は、溺愛され甘やかされて育つことで、自己愛が肥大化することが原因です。

・反社会性人格障害(ASPD)…虐待や育児放棄が原因
自己愛性人格障害(NPD) …甘やかされて育つことが原因

反社会性人格障害と自己愛性人格障害は、共感力の欠如や自己中心性といった症状が共通しますが、根本となる原因は正反対です。
そのため、反社会性人格障害と自己愛性人格障害の人物像も正反対です。
反社会性人格障害は、ソシオパスは不良やヤンキーに、サイコパスは冷酷なデキる人(学業や仕事など)になることが多いです。
一方、自己愛性人格障害は、優等生や仕事第一主義者、毒親、モラハラをする人になることが多いです。

反社会性人格障害は、自己愛性人格障害者と相性が悪く、いわば自己愛性人格障害の天敵です。
そのため、反社会性人格障害の特徴を知れば、自己愛性人格障害者をどのように対処したらいいか知ることができます。

【目次・反社会性人格障害の特徴】

それぞれの特徴について、解説していきたいと思います。

モラハラが効かない

自己愛性人格障害者は、正論や高い目標を人に押しつけるモラハラをすることが多いです。
自己愛性人格障害は、自己中心性が高いため、自分の意見が絶対正しいという考え方をします。
また、特別意識も強いため、自分の意見を上から目線で押しつけるのです。
正論を振りかざし、言う通りにできない人を「ダメな人」と人格否定するモラハラは、職場や家庭で多くの人を傷つけている社会問題です。

一方、反社会性人格障害は、自己愛性人格障害のモラハラが効かない、あるいはターゲットにされない傾向があります。
反社会性人格障害は、正論や高い目標にあまり興味がなく、「ダメな人」と言われることを恐れません。
そのため、モラハラ耐性があり、自己愛性人格障害者から苦手意識を持たれるのです。

正論や高い目標そのものは悪いものではありませんが、「ダメな人」というレッテルを過度に恐れる必要はありません。
「ダメな人」と言われる勇気や、人に嫌われる勇気も大事なものなのです。

コントロールされない

自己愛性人格障害のモラハラは、さらに進むとコントロールとなります。
自己愛性人格障害者は、自分の思い通りに行動する子分を欲しがります。
毒親だと子供、モラハラ上司だと部下をコントロールのターゲットとします。
自己愛性人格障害のコントロールには、ひたすら人格否定をして相手の自信をなくさせる方法や、アメとムチを使い分けて相手を自分に依存させる方法、恩を着せたり罪悪感を煽ったりすることで良心を利用する方法があります。

反社会性人格障害は、自己愛性人格障害のコントロールにも耐性があります。
反社会性人格障害は、自信が強い性格や反抗的な性格をしているため、人格否定されて自分を卑下することも、精神的に人に依存することもありません。
また、反社会性人格障害は、共感力が欠如しているため、罪悪感を覚えたり恩を感じたりしないのです。

自己愛性人格障害者は、自分の立場の優位性や相手の性格から、コントロールのターゲットにしやすい人を選びます。
一番の対処法は、コントロールしやすい人と思われないことです。
例えば、毒親による子供のコントロールは、反発的な子供ではなく、優しい子供や真面目な子供がターゲットにされます。
自己愛性人格障害者にとっての、優しい人や真面目な人は、都合の良い人なのです。
上から目線の人や自己中心的な人には、優しい対応や真面目な対応をするのは控え、避けるようにするといいでしょう。

優等生に騙されない

自己愛性人格障害は、承認欲求が強く、褒めだけを求めるという特徴があります。
そのため、自己愛性人格障害の子供の中には、親や先生に褒められるために、優等生のように振る舞うタイプがいます。
素の自分が真面目な優等生なのではなく、褒めのために我慢して良い子を演じているのです。
このタイプは、子供期だけでなく、大人になっても我慢して良い人を演じ続けることが多いです。

優等生ぶった自己愛性人格障害の問題は、陰では良い子や良い人ではないということです。
親や先生、目上の人がいない場面では、陰口を叩いたり、人に嫌がらせをしたりして、羽目を外しているのです。
先生や上司にチクりをするのも、他の人の評価を落とす目的や、自身の優等生アピールのためです。
表裏を使い分ける優等生ぶった自己愛性人格障害者に騙され、良い人だと勘違いする人も多いです。

しかし、反社会性人格障害者は、基本的に優等生ぶった自己愛性人格障害者が嫌いです。
反社会性人格障害者が自己愛性人格障害者に騙されない理由は、「良い人」に疑いを持つからです。
反社会性人格障害者は、悪さをするワルは好きでも、悪さをする良い人ぶった人が大嫌いです。
そのため、反社会性人格障害者は良い人ではないですが、自己愛性人格障害者に対する抑止力のように働きます。

自己愛性人格障害者に騙される人は、人の一面だけを見て、表面的な良い人を信じ込んでいるのです。
「表面的に良い人のフリをする人がいる」という事実を認識し、相手が表裏がある人物でないか疑う習慣を持つことが大事です。

まとめ

反社会性人格障害が自己愛性人格障害の天敵となる理由ついて、解説しました。
反社会性人格障害と自己愛性人格障害は、自己中心性や共感力欠如は共通していますが、本質は真逆です。
反社会性人格障害者は、自己愛性人格障害者からの被害を受けづらいため、自己愛性人格障害対策の参考となります。
自己愛性人格障害対策で最も重要なことは、自己愛性人格障害者に嫌われる勇気を持つことです。
自己愛性人格障害者からの要求は無視し、自分の思い通りになる人だと認識されないようにしましょう。